ひばりの朝


今日のマンガ紹介は「ひばりの朝」です。

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○作者 ヤマシタトモコ
○出版社 祥伝社
○掲載誌 Feelコミックス
○発表期間 2012年~
○巻数 1巻(2012年8月現在)




■あらすじ

手島日波里、14歳。
同い年の子どもより、肉感的な身体つき。
彼女を知れば、男はたいがい性的な感情を抱き、女はたいがい悪意の弾をこめる。
彼女に劣情を抱いている男や、片思いをしている少年、劣等感を抱く女、そして彼女をおとしめたい少女が、ひっそりと、かつエゴイステッィに彼女について語り出す。
彼女にまつわる心理展覧図はどこまでも広がるが、真実の正体は誰が知るのか?
少女の正体は魔性か、凡庸か――(amazon内容紹介より引用)

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~ジャンル分類~ 
多視点展開漫画
~要素方程式~ 
[14歳女子]×[多視点]×[他人]=[内面]×[闇]


主人公は、同い年より身体つきが良く、無口で少し浮いている女の子。
この作品はそんな主人公を取り巻く人物達が、それぞれの内心を語っていく事で始まる。

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一人の主人公を通した数人の内心を語るオムニバス形式のような展開で、
ひばりという14歳の少女を取り巻く人間模様や心情から、
思う」「思われる」をぐるぐると繰り広げていくような感覚の作品。

~見所ポイント~

①多視点展開

まずは多視点で展開されていく人間模様、構成が面白い。
ひばりという女の子が本作品の主人公であり、主人公でありながらも、
物語のほとんどは、ひばりを取り巻く人間で展開されていくような感じ。

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従兄弟でありながら、ひばりに自意識過剰になる男
自分の価値を知りたくて、ひばりの女力に妬みを抱く女
相手の噂や不幸が好きでたまらない、ひばりの同級生の女の子
他人に興味がないが、ひばりは悪い人間でないと断言する教師


ひばり」に対してどのような内心、行動を取っているかが、
一人1話ずつの短い間でスピーディーに淡々と展開されていきます。

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そこには人間誰しもが持ち合わせる「」のようなものが見え隠れしている。
そしてそのほとんどは、「誰にも語らず内で完結してしまう」という特徴がある。

だから人間の純粋悪というか、闇のようなものがまず読者に圧し掛かって、
それでいて垂れ流しのまま終えてしまうので、胸糞が悪いです(見所か?w)

②ひばりという女の子

本作品の一番の見所は、
先に挙げた「誰にも語らず内で完結してしまう」という「純粋悪」が、
ひばりという14歳の女の子に集中して、結論を求めるような展開にある。

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ひばりにとっての様々な行動、言動、表情などは、
すべての人間に同じに伝わるわけはないし、伝わらない事だって多くある。

コミックの帯や見出しには
少女の正体は魔性か、凡庸か。」と一言。

まさに少女は「」なのか「」なのかと結論を求めるような
シンボル的な表現がされている。こういう視点が本作品の見所。

③魔性か凡庸か

ひばりという少女の善悪を問いかけるような視点が見所であるが、
決して「ひばりが善か悪かを読者それぞれが考える」といった魅力ではないと思う。

それは1巻最後でそれまでシンボル的な位置にいた
ひばり自身の内心が語られてしまっているからで、
すべての問いかけに答えてしまっている事で明らか(これは読んでいて驚いた

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ひばりは・・・・

自意識過剰で性的な視点になる男の気持ちもわかる
女の子から好まれない容姿、雰囲気を持っていることもわかる
自分自身のタイミングの悪さだったり、漠然とわからない不安だったり


ひばり自身の内心が語られてしまっているので、
人間模様の中での「思う」「思われる」とか「」とか「」とか、
実は完結してしまっているようにも思える展開に驚く(でもまだ第1巻

④自分と他人

ひばりは1巻最後にこんな内心を話しだす。

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親も先生もともだち・・・も
皆死ねって思っても全員殺してまわれないから
だからなんか あっ て 思ったんだ けどそれって たとえば
あたしが死んだら全員消しちゃったのと
おんなにじことに なんないかなって 世界中の全員しねってゆう


非常に退廃的で破滅的な感情を絞りだしたように吐き出します。
この作品テーマが「ひばりという少女は善か悪か」でないとするならば、
本作品の一番の考えるべき点は「自分」と「他人」という視点ではないかと思う。

ひばりは、「皆死ね」っていう純粋悪で「他人」を指すんだけれども、
その「他人」はあまりに強大で、自分では消すことができないと感じる。

そして、消せないのなら「自分」を消すことで解決するのではないかと。

要するにひばりは「他人」への「純粋悪」というものを、
自分」へ向け始めている。正確に言うと「他人から見た自分の否定」。

これは、誰しもが抱く可能性のある恐ろしい感情だと思う。

~注意点~

①身を削られる

人間の内心をそのまま救いなく押し出されていくので、
読んでいて心をえぐられます笑。それはそれで魅力でもあるけれど。

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「ひばりの朝」を一言で言うならば

「自分と他人を考える多面的ドラマ」

自分の人生哲学で偉そうに言わせてもらうと
案外、自分の人生は他人が決めている」という意識を強く持ってます。

本当の自分なんて、他人に伝わらなければないも同然だし、
自分が伝えた感情が、他人に100%伝わる事も稀だと思う。

そんな中で「自分はどんな存在」という気持ちを持ち始めた時、
それを「自分」に押し込めるか、はたまた「他人」に委ねるのか。

ひばりは、自分の内心を吐き出した後、こうつぶやく

あたしがわるいんです

ひばりの脆く深い思考が今後の展開の肝だと思っています。
まだ1巻と始まったばかりですが、非常に哲学を感じる描写に圧巻。
今後の展開次第で評価は変わりますが、現段階、はい、超好きです♪

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個人的好み度 83%
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      {100%} ・・・・・ マンガ作品の限界到達点。魂揺さぶる頂点。     
   {99~90%} ・・・・・ 想像を超えた衝撃を受けた。作者に尊敬の念。
   {89~80%} ・・・・・ 想像の範囲内で大好きです。感謝しています。  
   {79~70%} ・・・・・ 好きでもう1回読みたいと思える。オススメできる。  
   {69~60%} ・・・・・ 好きだけどもう1回は・・と感じる。なかなか好き。   
   {59~50%} ・・・・・ そこそこ楽しめたと言えると思う。普通に楽しめた。
   {49~40%} ・・・・・ 読んでいてある程度魅力を感じた。悪くはない。     
   {39~30%} ・・・・・ 普通。可もなく不可もなく。特に言うこともなく。
   {29~20%} ・・・・・ ちょっとだけは魅力を感じた。正直好きではない。   
   {19~10%} ・・・・・ 嫌悪感のようなものを感じた。イライラしてくる。
   {09~00%} ・・・・・ マンガ作品の限界最下層。魂揺さぶる底辺。        
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Commented at 2013-01-06 01:17 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by anagogogogo at 2013-01-06 02:05
びん底さんへ

オススメありがとうございます!レビューははっきり書く信条ですので、本当に面白かったです。こういうどこか哲学的なテーマがある作品は大好物です。

ひばりが考えている感情を、自分も高校生ぐらいの頃に漠然と悩んだ事がありました。「自分の存在」とか「他人から見た自分」とか色々。

たぶん誰しもがそういう感情は抱くと思うんですが、きっと多くの人は「自分は自分」と強く考えたり、「他人から見た自分」と見つめ合って生きていくんじゃないかと。

でもひばりは、その他人とか世間というものへの内心から出る闇を上手く表現できないから、「他人の批判」から「自分への批判」に傾いてしまっている。

最も楽で、最も残酷なその感情を持ってしまうひばりが、今後の登場人物との触れ合いでどうなっていくのか。結構気になってすでに作品のトリコになってます笑。

オススメマンガその他も早めに読ませて頂きます。本当にありがとうございました♪

最近ようやくレディース・少女漫画の開拓も始まってきたので、今後も色々と発掘していきたいです。
by anagogogogo | 2013-01-05 22:13 | ■ マンガ紹介 | Comments(2)

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