「この世界の片隅に」(アニメ映画) (漫画)
2019年 08月 22日
ついに見てしまった。この作品を。
先週の休みに原作漫画再読と、アニメ映画作品を鑑賞。
色々タイミングを失って楽しみに残していたんですがついに鑑賞。

今日は「この世界の片隅に」の漫画原作とアニメ映画の感想を
ただひたすら思いつくままに書きなぐっていきたいと思います。
この作品は簡単には語りつくせない作品なので
紹介レビューはまたまとまった時間でやりたいと思います。
さて「この世界の片隅に」という作品は
広島と長崎の原爆投下の終戦時代を描いた「戦争」題材の漫画。
作者「こうの史代」さんの漫画は以前に当ブログでも紹介しており
「夕凪の街 桜の国」の紹介記事も良ければご覧いただければと思っています。
こうの史代さんの作品を見て自分の戦争という「価値観」は変わりました。
変わったというよりは、ひとつの「答え」のような軸ができたと思います。
「戦争」という題材は決して簡単には語れない部分も多く
そもそも「答え」というものがあるものでもないのは大前提ですが
それでもやはり自分は「戦争」という題材の「教育」には
何か漠然としたモヤモヤを小学校の授業から大人になった今でも持っている。
それは「戦争」が「悲劇」「辛さ」「残酷」「非道」などなど
「負」のイメージが大きく取りあげられた後に
「昔」はこんな不幸があった。それと「比較」すると現代は幸せだ。
やはりどうしてもこういうロジックが多く、そこには「疑問」が残った。
もちろん「そうでない」作品もあるとは思うが、やはり「教育」のなかでの戦争は
「負」のイメージを膨らませすぎているのではないかと。
(もちろんそもそも戦争が負なんですが・・それを否定するわけではないです)
閑話休題。
前置きが長くなりすぎましたが・・
「戦争」を「後世に伝える意味」「後世への伝え方」という部分に対して
こうの史代さんの描く「戦争」は驚くほど「淡々」と「潔く」描かれる。
そこには「負」のイメージと同時に「生」や「喜」のイメージも強く
作品を見ていると、本当に戦争題材作品の「不思議な感覚」が芽生えます。
それはきっと数多くある戦争作品が「戦争の悲劇」を伝えるに対して
こうの史代さん作品は「戦争が人に与えた影響」の切り取り方が光っている。
そう。
戦争を後世に伝える意味の重要な点と言うのは
「物理的な悲劇」ではなく「心理的な活動」こそではないかと。
そういった意味では、本当に「人」に焦点を当てた本作品は圧巻。
そこで描かれる「戦争時代を生きる人達」の言動や挙動には
「悲劇」も「別れ」も「喜び」も「活力」も「生活」も「出会い」も
戦争という「非日常」のなかでの「日常」を見事に描き切っている。
だから意外にも「あっさり」だったり、急に来る「恐ろしさ」だったり
さらにはその戦争という「悲劇」の部分を「逆に切り取って」から
「結果」だけを流すような演出で「人」に焦点を当てることを優先する物語に
心を動かされるのかなと、本作品を見るとなるほどなと強く想います。
本当に書きなぐりですみません。
ここからは完全にネタバレでアニメ映画感想を箇条書きに記録しておきます。
(そしてアニメ映画の完成度があまりに高く、自分はレビューできるか心配です笑)
・戦争の「時代」を描くのではなく「人」に焦点を当てた作品
・周作の義姉さんは「自分で選んだ道」に後悔はない「良い人生」と言い
すずに対しては「自分で選択をしてこなかった不幸な人生」と放つシーンは秀逸。
・戦争は「生きる意味」を考える教えが多いなかで
こうの史代さん作品は「死ぬ意味」を考える場面があることに驚く。
正確には「死ぬにいたる理由や意味」を考えること。
そして「すず」は「生きる意味」と「死ぬ意味」の狭間のなかで
終戦を迎える。戦争が「自分」に与えた「意味」はなんだったのか。
その得体の知れない「感情」が爆発する場面は言葉では説明できない。
・すずが持つ「選択」や「自由」のひとつに「絵」があるが
それが「右手」と同時に失われることは、本作品の様々なシーンにおいて
すごく重く重なってくるのは、本当に物語として優れた「悲劇」だと思う。
・右手を失い死んだ母と残された女の子の戦争孤児。
そしてすずを見て寄ってきた孤児におにぎりを上げるシーン。
右手のないすずに死んだ母の面影を抱き、手の無い右腕を抱きしめる場面。
ここは音楽も相まって、漫画を超越した、最高のアニメシーンだと思う。
まだまだたくさんの感情がある本作品ですが
「戦争」「情報」「生活」「豆知識」「喜怒哀楽」「物語」・・
一見すると「淡々とした戦争日常」のように思えてしまうかもしれませんが
自分はこの作品は、戦争題材の作品として「ひとつの完成形」だと思う。
むしろ漫画原作や、様々な方の感想レビューを見てから
このアニメ映画を見た方が良いとも思えるほど「考察」しがいのある作品なので
是非そのような鑑賞をしてみてください。とにかくすごい作品です。
以上、紹介とは言えない書きなぐりですが
時間のある時に原作漫画は紹介しようと思います。それでは。